Solo Live
       Back       2007.7.13 「古川 楽屋(Hide's Bar) 樋原海WITH黒津隆二ライブ 」                


 僕にとってこの日はちょっと特別なライブだった。
 それは20年以上前一時期ではあるが、かなり濃い音楽活動を共にした中條真一さんが見に来てくれたことだ。しかも奥さんと息子さんを伴って。
 
 彼は、僕らよりちょっとデビューは遅かったがキングレコードからプロデビューし、バリバリと音楽活動をしていた。独自の中條節は、青葉城恋歌の宗さん以上に仙台では目立つ存在だった。
 ライブハウスを経営していたし、ラジオのDJなどもやっていた。電気にも詳しいという多彩な人だった。
 しかし、その後はどうしたことか音沙汰がなくなっていた。hide's barの常連からは、あまり元気ではないよということを聞いていた。
 
 その中條さんとの20年以上ぶりの再開は感激だった。なんだか共に戦った同士のような感じがした。見た限りでは、当時の印象のままだった。老けていない。空白の時間は、あっという間に埋まった。
 
 彼は僕がソロで歌うなどとは思っても見なかったことだろう。だってその頃の僕は、八木山合奏団のエレキギター担当で、僕自身ボーカルなどあまりとりたくないと思っていたのだから。
 ただ、あり難い事に当時から僕のエレキを気に入ってくれていて、何かと彼の手伝いをしていたのだった。

 ステージはハーモニカの入る新曲も交えて8曲ほど歌った。そんなに悪い出来ではなかったと思うが、どこかぎこちなかったなあ。中條さんの視線がどうしても気になった。

 でも、ステージの終盤に中條さんの「酔行歌」をさらっと歌って、「歌いませんか?」と誘った。そうしたら、しぶしぶではあるがステージに上がってきてくれた。
 こうなると、がぜん場が盛り上がる。中條さんは、酔行歌を2番までだがしっかりと歌ってくれた。その歌声は健在だった。声量はさすがに少し下がっていたが、歌心は素晴らしかった。後で聞いたら、僕のキーは1音高かったそうだ。すみません・・・。
 当時の彼を知っているお客さんも多く、盛り上がった。拍手の渦だった。
 
 さて続いて肝心の関西のシンガー「樋原海」さんのステージ。
 当初はブルースシンガーというイメージを抱いていたが、ちょっと違った。あえて言うならソウルシンガーか?ギターはファンキーだし・・・。
 かなりのステージ数をこなしているようだ。優しい言葉の中に強さを感じる。そう、苦労人という言葉が似合いそうな人だ。意識してか、関西人ぽさを出していない。完璧なミュ−ジシャンだ。

 ギブソンのセミアコを指で引くのだが、かなりの早弾きだ。これでもかというくらい、これが彼のギタースタイルなのだろう。歌がいいのだ。高い声が特に安定している。その辺にはそうそういないミュージシャンだった。素晴らしかった。もう一度ゆっくりと聞きたいと思った。

 打ち上げでは、中條さんと昔話で盛り上がってしまい、樋原さんとはあまり話ができなかった。それが少し心残りだったなあ。 
 でも、20年以上会っていなかった中條さんに今回再会できた。それでいい。この日はそういう日だった。

 
 

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