R&K Live Report 2005.5.22                      BACK                                                                              

「R&K 米沢お祭りにちょっとだけ飛び入り」

 以前R&Kを取材して頂いた、泉区のミニコミ誌「ZONE」の編集者の方から、「是非一度ライブを見て欲しい人がいるから米沢に一緒に行ってみませんか?」という誘いがあり、和司君と米沢に行ってきた。その人は、野尻博さんという大道芸人の方だった。僕はそれまでは知らなかったが、脱サラして富山を拠点に地方のまちづくりに尽力している人だった。実は経営者でもあり、執筆や講演までしている、その筋ではかなり有名な方のようだ。

 この日は彼がプロデュースしたというお祭り「ドラマチック戎(えびす)市」の日だった。月に1回の割合で行なっているという。月に一回とは、やる側にはかなりのパワーがいることだろうなあ。
 会場についたら、黙々と汗を流して機材のセッティングしている白髪交じりの方がいた。それが野尻さんだった。手馴れた手つきで動いていた。軽い挨拶をしたが、その背中には半端ではない経験値みたいなものを感じた。

 背中にバスドラム、スネアドラム、シンバルのセットを背負い、足に付けた紐を踏むとドラムが鳴る仕組み。このパフォーマンスはこれまでに何人か見たことがある。
 しかし野尻さんは違った。足に引っかけたドラムを叩き?ながらシンセサイーザーギターを弾き、さらにフットベースを踏み、そして歌う。マイクはハーモニカフォルダーにセットされていて、時にはハーモニカ、カズーも吹く。さらにシンセドラムのセンサーの入ったヘッドギアのようなものをかぶり、手で叩いてドラムの音を出す。そして足元にはエフェクターがずらりと並んでいる。それを操る。とにかく器用だ!きめは両サイドに並んだ片側200WクラスのPA。大迫力である。

 さあ、始まるのかと思いきや、まずはお客さんの呼び込みから始まる。ニコニコしながら半ば強引に・・。そして盛んに対話を試みながらコミュニケーションを図ろうとする。大道芸の一端を見た思いだ。そしてお客さんがある程度集まったら、よっこいしょと重さ20キロはあるというドラムセットを背負い込み、ギターを持って歌い始めた。
 始まりは長渕剛の曲からだったが、他にはサンタナ、イーグルスなど外国のポップスも歌う。お客さんがのってこないと、演奏を止めてコミュニケーションを図ろうとする。これはお笑いの芸に通じる。そしてまた歌いだす。汗だくになって一生懸命に。

 お客さんといかにコミュニケーションをとるか、そしてそれが物凄く大切なことなんだということを痛感した。と同時に「人を喜ばせたい」というサービス精神が根本にあるということも十二分に理解できた。これは自分が目指している音楽にも同じ事が言える。
 彼はこのスタイルで全国を回っている。また、アメリカやヨーロッパでも活動している。半端ではない・・。

 2回目のステージの後で、仙台から来たミュージシャンということで僕らを紹介してくれたが、芸達者な人のしかも大音量の後にアコギに生歌では到底太刀打ちできない。また、お客を路上で呼び寄せるなんて芸は持ち合わせていないのだ。5曲ほど歌って早々に楽器をしまった。
 でも、「音楽をやれる場所なんていくらでもあるよ、要はやる気だよ」と彼がいっているような気がした。僕らでもちょっとした工夫をすれば、十分にR&Kサウンドを出すのは可能だ。持ち運びが可能な小さいPAなんて、たくさん出ているし、マイクだって耳にかけるものを使えば、マイクスタンドなんて要らない。エレキギターを使ったってO.Kだ。可能性が広がりそうだ。要はTPOなんだ。
 大道芸をやろうとはあまり思わないが、そのエキスは必要だ。聞いてくれる人といかにしてコミュニケーションをとるか、そしてお互い楽しもうという発想。いい勉強をさせてもらった。

 夜 家に帰ってから野尻さんから電話をもらった。「今、福井に移動中です」ということだった。今度仙台でやるときは是非一緒にやりましょうという嬉しい言葉を頂いた。

 年齢からして20キロあるドラムを担いで、いろんなものを操りながら歌うのは正直つらいと思う。生意気なようだけれど、もっとニコニコして余裕を感じさせながら歌えば、見る側はさらに楽しめるのかなとも思った。余裕・・・。これは大切だ。
でも、パワフルで、エネルギーの塊のような人だった。脱帽!